【2019】公認会計士試験Part40【令和元年】

56 ：俺の小説読んで：2019/10/22(火) 12:04:11.32 ID:O9FEFKhF0.net

俺の小説読んで

【後科者】

後科者という言葉が生まれてもう20年になる。
これは字面を見てもらえればわかると思うが、まあ要するに前科者の対になる概念というわけだ。
過去に犯罪を犯した人間の反対、つまり「未来に犯罪を犯す」人間を指し示すもの。

高度に発達したコンピュータはかなりの精度の未来予測を可能にした。
それは人間の行動・どういう人生を送るのかということまでハッキリと解析が可能で、事実コンピュータの言うことに間違いが起きたことはなかった。
唯一コンピュータの予測した結果を曲げることが出来るとすれば、それはコンピュータから知らされた未来を事前に対策していた場合に限る。

さて、そこで導入されたのが「後科者」という制度。未来に確実に犯罪を犯すとされた連中はこのレッテルを貼られ、半ば刑務所のような場所に軟禁される。
半ば、というのは、まだそいつは実際に犯罪を犯したわけではないから。その分待遇も少しだけ優しいのだ。

俺も後科者と宣告された。あのいまいましい無機質なコンピュータ野郎にだ。
そして後科者専用の刑務所に現在軟禁されている。
腹が立ってなんともしょうがないことだ。

ここはまだ受刑者の行動の自由がある程度は許されている。
隙を見計らって反乱でも起こしてやろうか。
しかしその行動こそが俺が未来に犯すはずの犯罪なのかもしれないと思うと、どうにも萎縮してそんな気は起こらないのだった。