【裁判】熊谷6人殺害。ようやく公判、こんな長引くとは…。殺害された娘の父、体衰え「行く気力ない」。判決どうなるか

記憶たどり。 ★

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180125-00010007-saitama-l11

埼玉県熊谷市で2015年9月、小学生姉妹を含む6人が殺害された事件で、強盗殺人罪などで起訴された
ペルー人のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン被告（32）の裁判員裁判の初公判が26日、さいたま地裁で開かれる。
最初の被害者となったのが、同市見晴町の田崎稔さん（55）と妻美佐枝さん（53）＝年齢はいずれも当時。
事件から約2年4カ月が経過し、公判を待ち望んでいた美佐枝さんの父親（89）は「こんなに長引くとは思わなかった。
体に自信がなく、行く気力がない」と、くたびれた様子で語った。

父親は今も美佐枝さんらが住んでいた家と同じ敷地内に一人で暮らしている。妻に先立たれた後、
美佐枝さん夫妻は父親を一人にさせないようにと今の場所に引っ越してきた。娘は毎日のように顔を出して、
家事を手伝ってくれたり、話相手になってくれた。

「いれば『今日、何買ってくるんだい』とか、いろんなこと話してくれたんだけど、いないからこっちから頼むこともできないし…。
もう向こうに行っちゃっている人だから、仏壇の前に手を合わせるだけだね」。父親は改めて孤独と心細さを実感する。

「しっかりと（裁判の）結果を聞けるように、今は娘のために少しでも長生きしないといけない」。
父親は事件から2年がたった昨年9月、埼玉新聞の取材に話していた。

ようやく公判を迎えるが、父親は今、自分の体の衰えを感じ、裁判を傍聴するためにさいたま市まで出掛けようとは思っていない。
県警犯罪被害者支援室によると、初公判前に電話や自宅を訪問し、父親の意向を確認したが、年齢などを理由に車での送迎も辞退したという。

「当時はまだ元気だった。それが今のように体が悪くなって（外に）出て行く気力もなくなっちゃった」。
自動車免許を返納し、車もないため自分で行く手段もない。月に1度、医者に通院する以外、なるべく外出しなくなった。

特に冬の寒い時期はなおさらだ。「風呂だって天気予報を見て、暖かい日の昼に入るんだから。うんと寒いときは入らないように気をつけている。
（裁判は）おそらく新聞やテレビでやるだろうから、それを見させてもらうしかない。寒いから大事をとってこたつに入っているだけだよ」

判決は3月9日の予定だが、「もう歳が歳だし、明日のことも分からないから」と弱気を口にする。
「これ（判決）でどういう風になるんだか。どっちにしても元気でいなくっちゃしょうがない。本当に元気でいてくれなけりゃ」。
父親は自分の体と相談するように同じ言葉を繰り返し、まだ遠い春に思いを巡らせた。