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平井和正★14

78 :名無しは無慈悲な夜の女王 :2019/07/15(月) 00:00:08.55 ID:4RvMLF0F0.net
ベアトリスの釵についてだが。
「銀の平打ちの釵」「片方が梅、片方が花菱」だと、第3章で月影が探し物をするときにカタチの詳細を述べている。
だが、そのルーツは皆目分からない。1章でベアトリスがお時に渡すのはご存知のとおりだ。その登場の唐突感は否めない。
ヨーロッパの妖怪姫君がなんでそんなものを持ってるのだと、初読時に思ったものだ。いったい姫君はどこで購入したのか、とまぬけなことを考えていた。

だが、今はそんなことは思っていない。それはたぶんお蝶の持ちものだったのだ。時を超えて漂着したお蝶が、辛うじて身につけていたものなのだろう。
もちろん想像だ。お蝶はそれを手に握りしめていたのだろう。とても大切なものだから。
もちろん想像だ。それはおそらく初恋の人からの贈りもの。恋した男の名は……、山本千之介。

お蝶が恋した男の残像は、お時の心にも染み入っただろう。
お時と千之介の出逢うシーン、その本文をみよ。
「雪の冷たさも感じないほど」「茫然として顔に見入って」「戦慄がくりかえし」「身体を波動した」「ふいに胸中に熱鉄が生じた」
お蝶の初恋の思い。清冽な恋心。彼女は千之介に再会し、激しく、激しく、心を揺すぶられた……と想像する。
少女は、かつて相手にしてくれなかった男と数奇なめぐりあわせの果てに再会し、あらためて恋に落ちる。
そして、愛児を孕むことになる。
密かに灯された少女の初恋は、遠い時を越え、やがて熱い愛となって燃え上がり、その結晶を生み落とす……それが、そう、あの東丈ってわけさ。
……平井和正はロマンチストなんだなあ。

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